こんにちは、Gorian91(@gorian91)です。
本日、「障害者差別解消法」と「障害者の雇用の促進等に関する法律の一部を改正する法律」が施行されました。
当事者にとっては非常に意義ある法律で、一部の人たちの間では大きな話題になってますが、世の中の関心はあまり高くなく、NHKの朝のニュースで報道されていたものの、それ以外のテレビ局では、私が見た限りほとんど報道されていませんでした。
乙武さんの不倫騒動をほじくり返して徹底議論する暇があるなら、ちょっとは報道せえよw
どうでもいい話題をネチネチ取り上げて、ツマラン番組を量産する某テレビ局には心底ガッカリします。
さて、法律が施行されたものの国からの告知や案内が充分でないので、知らない方も多いと思います。
そんな方のために、改めて、今回施行された法律のポイントをまとめてみました。
障害者差別解消法・改正障害者雇用促進法に関する情報
今回施行されるのは、「障害者の雇用の促進等に関する法律の一部を改正する法律」と「障害者差別解消法」の2つの法律。
「障害者の雇用の促進等に関する法律の一部を改正する法律」では雇用について、「障害者差別解消法」では雇用以外の面について、障害者差別の禁止、合理的配慮が必要となります。
障害のある当事者、難病の当事者はもちろんですが、事業者や団体(営利非営利問わず)にも関係のある法律なので、事業主、経営者の方は必読です。
内閣府と厚生労働省のページに、法律の条文と広報用の資料が公開されているので法律についてご存知ない方は、こちらのページをご覧ください。
障害者差別解消法について
障害を理由とする差別の解消の推進に関する法律(平成25年法律第65号)
改正障害者雇用促進法
平成28年4月(一部公布日又は平成30年4月)より、改正障害者雇用促進法が施行されます。
障害者の雇用の促進等に関する法律の一部を改正する法律(平成25年法律第46号)-条文
障害者手帳を持つ人以外も対象となる
法律の名前にもある「障害者」ですが、ここでいう「障害者」とは、障害者手帳を持つ人だけではありません。
「身体障害、知的障害、精神障害、発達障害、その他、心や体のはたらきに障害がある人のうち、社会にあるバリアによって、日常生活や社会生活に相当な制限を受けている人が対象」とされています。
例えば、私のような希少難病の当事者で日常生活や社会生活に相当な制限を受けれいれば対象となります。
また、配慮する側の「事業者」の定義は、「会社やお店など、同じサービスなどをくりかえし継続する意思をもって行う人たち」とされていて、ボランティア活動グループも対象となるようです。
次に、具体的にどういったことをすると差別にするのか、合理的配慮とはどういうものか、についてです。
不当な差別的取扱いの具体例
- 受付の対応拒否。
- 本人を無視して介助者や支援者、付き添いの人に話しかける。
- 学校の受験や、入学を拒否する。
- 障害者向け物件はないと言って対応しない。
- 保護者や介助者が一緒にいないとお店に入れない。
受付の対応拒否はあまり聞きませんが、「本人を無視して付き添いの人に話しかける」「保護者・介助者が一緒にいないとお店に入れない」という話はよくある話です。
他にも、私の叔父は電動車椅子に乗っていますが、バスに乗ろうとしたら乗車拒否されるということがよくあります。調べてないのでわからないけど、物件の入居拒否とかも結構あるんじゃないかな。
こういったことが差別とみなされて禁止されます。
合理的配慮の具体例
- 障害のある人の障害特性に応じて、座席を決める。
- 書類の代筆(代筆が問題ない書類の場合)
- 意思を伝え合うために絵や写真のカードやタブレット端末などを使う。
- 段差がある場合に、スロープなどを使って補助する。
次に合理的配慮。
障害者雇用の面における合理的配慮に関しては、こちらの記事「過度な期待はダメ絶対!「障害者差別解消法」に期待しすぎてはいけない」で書きましたが、障害者差別解消法も同じで、民間事業者は「過重な負担とならない程度」で努力義務とされ、下記の6つのポイントを総合的に勘案して個別に判断されます。
①事業活動への影響の程度
②実現困難度
③費用負担の程度
④企業の規模
⑤企業の財務状況
⑥公的支援の有無
改正障害者雇用促進法 周知用パンフレット – 厚生労働省より引用
最初に気になったのは書類の代筆。視覚障害者が書類を書けなくてクレジットカードの申し込みができなかったという話を知人に聞ききましたが、その場合はどうなるんでしょうね。
おそらく個別の判断になるんでしょうけど、パンフレットには、「代わりに書くことが問題のない書類の場合」とあるので、これは改善されるか微妙だなぁと思いました。
あと一見当たり前のように思える「段差がある場合に、スロープなどを使って補助する。」ことも、細かく考えだすと難しい問題で、段差が20段くらいあったらどうするんだろうとか、スロープが設置できない、エレベーターもない場合はどこまで配慮すべきなのかなーとか。
事業者からしたら、
「どこまで配慮すればいいんだ!」
と怒りにも似た、疑問の声があがりそうです。
まだまだ法律としては改善するところも多いので、様子を見て各方面の方々の声を取り入れながら、改善されて欲しいと願うばかりです。
まとめ
今日から施行された「障害者の雇用の促進等に関する法律の一部を改正する法律」と「障害者差別解消法」は、細かい部分を見てみると、まだまだ改善できるよなーと思う部分がたくさんあるんですが、実際、やってみないとわからないことも多いんですよね。
会社の事業もそうだし、こういう法律もそうだと思うんですが、実際にやってみて意見を聞いて改善する。これを何度も何度も繰り返して、時間をかけてより良いものにしていくことが大事なのだと思います。
生まれたてホヤホヤのひよっこみたいな法律ですが、一当事者として、行く末を見守っていこうと思います。